止まっていた時計の針がゆっくりと動き出す・・・

yoshi-blog2007-07-17

あれから3ヶ月という時間が過ぎた。



側で目を細めながら小さな発見に驚く毎日・・・



楽しくも、心どこか、奥歯に物がつまるように、そう、今日の天気のように心はいつも霧雨だった。



一喜一憂して、喜んでみて、でも、落ち込んでみて、そんな繰り返し・・・



それでも良かった。だって、それでもこの子は一生懸命成長している。



なのにお前も成長しないでどうする?人と比べてどうする?いつもいつも心の隅で自問自答していた。



ああ、こんな気持ちで今日という日を迎えてしまった・・・



どうする?



でも、結局の所この子を信じてあげるしかないんだな・・・って思った日。



やることは一杯あったけど、午後から会社を早退し3ヶ月ぶりにはるくんの病院に行ってきた。病院で嫁さんとはるくんと合流。なんでも今日は1ヶ月検診の子供の予約が多いらしく、こうやって見るとはるくんも一応それなりに成長しているんだなあと実感した。何も変わらない病院。いつもの雰囲気。緊張しているのは自分だけだろうか?はるくんはパパを見つけてニコニコ。ベビーカーからおろして待合室の前で絵本を読んであげながら順番を待っていた。

「はるくん、あそこにトーマスのおもちゃがあるから遊んでみる?」

そう言って待合室のコーナーの側にあるおもちゃ箱にはるくんは夢中。

「今日ね、はるくん1歳の女の子におもちゃ取られても何にも言わないの・・・」

「そうなんだ。相変わらずだね。この子の気弱さは俺に似たんじゃないのかな・・・」

苦笑して呆れる嫁さんを横にはるくんはトーマスがお気に入りになったみたい。今日はいつもより混んでいて30分くらい待たされた後、

「はるとく〜ん」

と看護士さんに呼ばれ基礎データの確認をしなきゃいけなくて体重とか身長とか、頭囲、胸囲、他色々。

「もう立てるなら普通に体重計に乗りますか?」

看護師さんに促されたので

「ええ、大丈夫だと思うのでお願いします」

抱っこしていたはるくんを体重計に置いたとたん。

「(T_T)うえ〜ん!!!」

診察室に響くいつもの泣き声

「(ーー;)お前、またそれかよ・・・一度くらい素直に計測させてくれよ」

と言ってみたものの自分にしがみつき離れないので立って計測を断念。別室に連れて行かれ乳児用の計測器で測る事になり看護師さんも悪戦苦闘していたけど無事計測終了。身長が90cmを超えてた。体重もちょっぴり増えてた。さあ、先生はなんていってくれるだろうね?

そこから20分くらい待たされ中待合室へ。ずっと抱っこされていたのも飽きたらしいのでお気に入りの長靴を履かせてその辺をキョロキョロうろうろして時間をつぶしていた・・・そして。

「はるとくん中へどうぞ〜」

先生のアナウンスがあったので

「はるくん、先生を驚かすために歩いてそこまで行ってみようか?^^」

とはるくんの手を引き診察室のドアを開けた。

「おお!はるとちゃん!歩いているじゃないの!!」

主治医の先生も目を丸くして驚いていた。

「いつから?」

「この前の診察のあと急に立てるようになったと思ったら気がついたら歩けるようになってました」

「ハイハイとか、伝い歩きとかまだする?」

「もうしません。一人で歩いてます。」

「そっか、そっか。良かったね^^ 先生前回の診察の時に検査するとか脅かしちゃったからかな?」

先生も喜んでくれてうれしかった。でもね、この子、こんな良い先生なのにね、なんか苦手らしいのよね・・・orz すっごい無表情。そんでもって抱っこしている手を離さないの・・・

「じゃあ、一応、歩いているの見せてもらおうかな?」

先生が指示する場所にはるくんを置いて自分が数m離れて

「はるくん、こっちおいで^^」

いつもなら、なんの問題もないのに、本番にからっきし弱い子で・・・

「(T_T)うえ〜ん」

orz・・・また、それか・・・もうね、何やっても動かないの。手を振ってもお気に入りのおもちゃを見せても、ママが呼んでも微動だにせずその場で立ったまま大泣き。いつもはあんなに動き回っているのに・・・

「まっまあ、さっき歩いている見たし良しとしますか・・・」

「ほんと、すいません・・・」

テストもへったくれもないけど一応診察終了。

「そうですね。修正20ヶ月ですか・・・遅いけど、遅いけどゆっくり成長はしてますね。身体的な部分については要経過観察としてましたけど、もう大丈夫でしょう。あとは、言葉だね・・・普通二歳の誕生日くらいまでには一回の言葉に2単語くらい出てくるんだけどね。」

「まだ、そこまではいってないですね。パパとかバスとかトラックとか1単語で、人の真似をすることもだいぶ覚えてきましたけど・・・」

「う〜ん。一応当初の話ではちゃんと歩けるようになるまで面倒見ましょうって言ってましたけどはるとちゃんの場合は言葉出るまで面倒見させてください。とりあえず次は2歳過ぎる時にまた確認してみましょうか?」

「はい。ありがとうございます。じゃあ、体の部分に関しては合格だと思っていいんですか?」

「ええ。大丈夫でしょう。ちゃんと歩けるようになってますし・・・」

「あと言葉と言う事ですけど、何かトレーニング的なものってあるんですか?」

「基本は絵本とかの読み聞かせになるでしょうね。本当に言葉が出てこない場合は言語療法士っていう専門の人もいるのでそういう人の元でトレーニングとかをする必要があるのですが、はるとちゃんの場合はそこまでする必要はまだありません。少しづつしゃべっているようですし、もうちょっと様子みましょうね」

そう言われた。次は10月。診察も無事に終わって本当に良かった。


今までね。「卒業」というキーワードに妙にこだわっていて、早く卒業しなきゃ・・・早く卒業できるといい。そう思ってた。

http://d.hatena.ne.jp/yoshi-blog/20070417

でも、早く卒業することが必ずしもよい事ではないと言う事も分かった気がする。だって、今日合格もらえたし、運転免許で言うとみきわめ判定もらえて後は運転試験免許場で筆記試験を受けるだけ・・・そんな気分と同じ感じがした。

なんだろ?この気持ち。もやもやしていた曇り空の隙間から一筋の晴れ間が僕を照らしてくれた気がした。先生に「合格です」って言われたことがすごくうれしくて、うれしくて。ただ、このうれしいという言葉以外、代わりの言葉を捜すことが出来なかった・・・

帰り道。嫁さんとはるくんは車の中で寝ちゃっていたけど一人物思いにふけながら運転してたらなんか、じーんときて泣きはしなかったけど、涙が目に浮かんできて運転しにくかった。長かったなあ・・・ここまで、でも、やっとここまできたんだなあ・・・って思ったらなんかうれしくって・・・でも、うれしいけど大はしゃぎして喜ぶ事じゃなくて、静かに、心の中で「本当に良かった。今日と言う日を迎えられて本当に良かった・・・」そう思えた自分とバックミラー越しに見えるはるくんの寝顔と今までに出来事が入れ替わり立ち代り思いをめぐらせつつ家路へとついたけど、なんだろうなあ・・・この気持ち。ほんと良かったね。

今まで電池の切れていた時計の針がこの瞬間ゆっくりと動き出したのを体で感じた今日。これから長い人生になると思われる彼のがんばりが報われた時間を共有出来た事と、これからまた新しい一歩を踏み出す事が出来た良き日に感謝したいと思う。胸が締め付けられる思いもようやく報われた。そんな小さな出来事が心の琴線を響かせた今日を僕は忘れません。本当に、本当におめでとう。そして、ありがとう。やっと一つの区切りをつける事ができてほっとした。

家に帰ってからはるくん今日すっごいがんばったせいなのか病院でストレスをためたのか今また、40度の熱を出してしまいました。多分自分の風邪がまたうつったのかな・・・とりあえず冷えピタ貼って様子を見てますが、はるくんが寝て落ち着いた後軽く嫁さんと乾杯をしつつ予断を許さない夜になりそうだけど、まずは素直に喜びたいと思う。

はるくんへ
おめでとう、はるくん。先生からようやく合格もらえたね。
パパもママもすっごいうれしいよ。
はるくん最近いっぱいしゃべってくれるし、
もりもり食べていっぱい遊んですっごい成長してるよね。
去年の今頃ようやくハイハイしてくれたはるくんに驚き、喜んだけど
もう、はるくんしっかり歩いてパパ、パパ〜って抱きついてくれるの
すっごいパパうれしんだよね・・・
はるくんとお出かけするもの、はるくんと遊ぶのもパパの幸せ。
パパがこうしてがんばれるのもはるくんのおかげです。
はるくんにとってあんまりいいパパじゃないかもしれないけど、
これからも、あなたの理想のパパになれるようにはるくんと一緒に
成長していけるといいなあ・・・
今も寝る前に絵本を読んであげているけど、もっとはるくんが楽しめる
絵本いっぱい探してきてはるくんが楽しくおやすみできるようにパパも
がんばるね。だから、次の3ヵ月後、また先生に「合格」って言って
もらえるようにいっぱい絵本読もうね。


私はあなたのパパでいられて本当に幸せです。はるくんはこんなパパに
色々気がつかせてくれました。まだ、全然父親らしい事とか、威厳とか
そんな事何一つないけど、何かあなたにとってプラスになれる存在か
難しかったらせめて反面教師にはなれる男でありたいです。
ありがとう。そして、おめでとう。遅くても、小さくてもいい、ただ
一歩前に進めた事に今は喜びたいです。

こんなダメなパパだけどこれからもよろしくね・・・







今日という、小さな始まりの心の鐘の音を僕は忘れない・・・