ずっと、この日を待ってました。この日、今日。この出来事を終えるまで長い長い、雨の季節でした。そんな雨交じりの雲の切れ間から一筋の光明が差し込んできて、僕の心をほんの少し明るく照らし出してくれた今日。僕はこの日を忘れない・・・君が今までがんばってきた証を今日ここに記録しておこうと思う。おめでとう・・・そんな静かな気持ちでいっぱいなYoshiです。こんばんは(ToT)
今、ものすごい静かな気持ちです。なんだか今まで無駄に力を入れていた肩の力がふわっと抜けた感じ・・・大きな安堵感と、小さなうれしさで一杯です。そんな僕の小さな出来事をお披露目させてください。
昨日からずっと不安で寝れませんでした。それが理由って訳じゃないけど、やんごとなき事情で朝7時過ぎに会社近くの喫茶店で時間をつぶしつつも無難に仕事をこなす。どうも仕事の事なんて全然手につかず、気になるのは今日の出来事ばかり。
「本当に卒業できるのかな・・・」
そんな事を自問自答しているうちにあっという間に時間が過ぎちゃって、午後から会社を早退してはるくんと嫁さん、あいちゃん達と病院で待ち合わせてはるくんの卒業検定も兼ねている検診に行ってきました。
病院で合流して待合室へ。すでに予約もしてあるし、勝手知ったる病院。君はここで2週間近く入院してさ・・・覚えてないと思うけど、今じゃみんな思い出。一人途方にくれた待合室も、辛い現実を受け止めきれず、夜中廊下で嗚咽した事も、平常心保とうと洗面所で顔何度も洗った事も・・・今じゃ、みんな思い出。でも、今日の結果聞くのが正直怖かった。
「あら、はるとくん。大きくなったね。久しぶり」
担当の看護師さんがはるくんの事覚えていてくれたみたい。ちょっとびっくりした。すでに3ヶ月以上来てないのに覚えてくれているって事に嬉しかったけど、はるくんはこれから起こるであろう何かに若干不安顔。そして、寝起きなので少しご機嫌斜め。
あいちゃんを嫁さんに任せ、自分が手を引いて診察前の基礎チェックへ。体重も増えてたし、身長も伸びていた。いつも、いつも、ここに来ると得体の知れない事におびえているのか病室中に響き渡る大絶叫をしていたはるくん。でも、今日はものすごくおりこうさんでした。
「はるとくん、今日は泣かないのね・・・」
看護師さんも微笑みながら話しかけている。でも、はるくんはまだ、ちょっと本調子じゃなく、人見知りなのか、怖いのかパパの後ろに隠れちゃう始末で、なんだか微妙。特にデータ上は問題なしでした。そして、担当医のT先生が空くまでしばし空き時間。その間、はるくんはパパにずっと抱っこされてぺっとりくっついていました。
「はるくん、今日卒業できるといいねえ・・・パパさ、きっと卒業できると思うんだよね」
そういいながら頭なでなでしていたけど、本当ははるくんよりもパパが不安だったみたいです。なんか、こう、絶対大丈夫だろう?って思っていても、どこか、何かあったらどうしましょう?って気持ちがぬぐえない自分がいて不安だった。
そして、T先生に呼ばれ診察室へ。
「おーはるとくん、大きくなったねえ・・・」
T先生は相変わらずの笑顔でした。家族総出になっちゃったけど、全員でT先生の診察を受ける。いつも最初に少し問診して、その後各種発達チェックを受ける事になっていて、今日も色々ヒアリング
「言葉は出てきたかな?前回はようやく2語が少しでたっていってたけど」
「そうですね。今は普通に2語、3語出ているし、会話も成り立ってます」
「こっちの指示した物とか、どう?」
「あれ、もってきて、とかちゃんと聞いて理解してもってきますね」
一つ一つ、発達チェック表みたいなものがあって、その項目を上から順番にこなしていく。はるくんはその間パパひざの上できょとんとしている。
「はるとくん、元気?先生覚えている?」
「・・・・」
「今日何できたの?電車?電車乗ったの?」
「・・・・」
「あら、かわいい洋服きているねえ。それジェームス?」
「・・・・」
全部無視wwww っていうか、一言もしゃべってくれなかった。はるくん、白衣の先生見ると萎縮しちゃうんです。そりゃ、小さいときから怖い思いとか、辛い思いをしているんはみんな白衣を着た人達。だから、トラウマになっちゃっている所があるんだけど、今日も会話はしてくれませんでした・・・ま、前回はずっと絶叫だったので、それに比べればましなんですけどね。
「どう?かけっことかはしているの?」
「ええ、それは問題ないです」
「ボールとか投げる?」
「ええ、普通に」
そんなやりとりを数十項目テストと確認。
「まあね、もうこのくらいの年齢になるとね、修正月齢とは言わないから普通に年齢を適用して考えるんだけど、相変わらず若干遅めの発達スピードだけど、一つ一つの項目はちゃんとこなせているし、遅いだけでしっかり追いついてきているから大丈夫でしょう」
「そうですか・・・じゃあ、そんなに気にする必要ないですかね?」
「うん。そうね。気にする事はないかな・・・」
先生の発言を聞いて嬉しかった・・・そして、その後動きのチェックというか歩いている所とか、走っている所とか、動きとかもチェックしてもらって特に問題なし。一通りのチェックの結果一応合格を貰いました。
「こんだけ動けているし、もう心配はしなくていいでしょう・・・どうかな?後は、お父さんとお母さんが、不安がないって事であれば、はるとくんも今日で卒業にしましょうか?」
T先生がニッコリしながら僕らに問いかけてくれたので
「何か気にしなきゃいけないことってないですか?」
「うーん。特にないかなあ・・・」
「ちょっと頭が大きいんですけど、これって何か問題あるんですかね?」
「はるとくんの場合は本当に大きいだけで特に問題はないかな?一応CTもMRIもやってるし、問題なかったし、気になるならもう一度やってもいいと思うけど、多分大丈夫でしょう。もし、脳とかに影響があるなら発達に影響があったり、何か出来ないとか行動に現れてくるけど、はるとくんは早産の影響で遅れる事はあっても、特段何か出来ないって事はないので、そういう面では問題ないですね」
「そうですか・・・」
その他一通り、心配な事を聞いてから・・・
「じゃあ、今日で卒業させてもらおうか、はるくんさ?」
頭なでなでしながら、はるくんに聞いてみましたけど、相変わらずの無言。苦笑 もうやになっちゃけど、今日、はるとくんは無事、この病院を卒業する事が決定しました。
「卒業と言っても気になる事とか不安な事とかあったらいつでも来ていいからね。当分この病院にいると思うので・・・」
先生がそう言ってくれたのがとっても嬉しかった。そして、先生はもう書くスペースなんて全然ないはるくんの母子手帳に1年近くぶりに
【順調です】
って書いてくれた。途中から、先生が母子手帳に【順調です】って記載しなくなってから今日までずっと・・・要経過観察中のはるくん、ようやく最後に先生が【順調です】って書いてくれた時、心の中で
「ああ、これでやっとはるくんも卒業できるんだ・・・」
と実感した瞬間でもありました。
ホント、苦しかった。生まれて10ヶ月過ぎ。本当に泣きそうで、苦しくて、絶望している日もありました。
http://d.hatena.ne.jp/yoshi-blog/20060801
何度も、何度も卒業が延期になるたびに凹んだり、また自分の気持ちを奮い立たせたり・・・
http://d.hatena.ne.jp/yoshi-blog/20070417
そんな気持ちに今日ピリオドが打てた・・・そう思えた時、長い雨が降っている雲の切れ間から差し込んで来た日の光。晴れやかな気分の自分がここにいました。
はるくん、今日で無事要経過観察という身分から卒業です。
おめでとう。本当におめでとう・・・
そして、はるくんを見てきてくれたT先生、看護師の皆様、理学療法士の皆様、みんな本当にありがとうございました。
特に、T先生には本当にお世話になった・・・今の僕がこうして自分の息子に向き合えるのもこの人がいてくれたからと言っても過言ではないすごい人だった。
思い出話になっちゃうけど、はるくんが生まれた瞬間。嫁さんが分娩室から動けず、一人、NICUのはるくんの前で二人会話した事があった。先生に
「正直、今ね、あんまり安心できる状況じゃないです。でも、なんとかがんばって持たせますから、おとうさんもあきらめずがんばりましょうね」
そういわれたからこそ、その後自分ががんばれたんだと今になって思います。本当にあの時苦しかった。でも、あれ以降、事ある毎に心配してくれる先生に巡り合えたからはるくんも無事ここまで育ってこれたんじゃないのかな?って思うんです。
いつもニコニコしているT先生。心配や不安も全部取り除いてくれたT先生。ほんと、感謝の言葉しか出ないけど、本当にこの人に出会えてよかった。そんな先生と別れる事になってしまう・・・嬉しい出来事の反面、なんだか少し寂しい・・・
この病院、前の家の近くだったのでなかなか簡単には行けないけど、本当に良かった。まだ気持ちの整理は出来てないけど、いろんな人の支えられて今日を迎える事が出来たって事を素直に喜びたいと思います。
最後にT先生が
「はるとくん、おめでとう。最後に握手しようか」
そういいながらはるくんと握手をしてくれた。はるくんは自分が卒業したっていうのは全然理解できてないけど、その光景を見たら、なんだか胸の中が少しじーんと来て泣きそうになっちゃった・・・
最後に深々とお礼をして病室を後にしました。本当にありがとうございました。
帰り際、担当の看護師さんに
「はるとくん、今日で卒業なんだね。おめでとう。でも、さみしくなっちゃうね・・・」
はるくんに笑顔で手を振ってくれたり、小さな別れをしてきたけど、いつか、はるくんが大人になった時、君のエピソードをいつかちゃんと話してあげようと思いました。
そして、帰り道。はるくんを抱っこしながらはるくんに聞いてみました。
「はるくんさ、今日で卒業だってさ。おめでとうね。今日は卒業記念だから、なんかおいしいものでも食べようか?何がいい?」
「ピザ〜♪ピザ食べたい・・・」
「えーおいしいものでピザなの??なんか、もっと他にないのかよ〜」
「ピザ!ピザ!」
もっと、色々食べたい所はあったけど、あいちゃんもいたし、さっくり家に帰ってはるくんご所望のピザを頼んで小さなお祝いをしました。本人も喜んでくれたし、それでよければ、ま、いいかな〜と。
そんな訳で無事はるくん卒業です。また明日から新しいスタートだけど、無理せず、楽せず、あなたらしく生きてもらいたいものです。
親愛なるはるくんへ
卒業おめでとう。
良かったね。今日でやっとはるくんも卒業できたね。
ここまでくるの本当に長かったけど、
今日という日が迎えられた・・・それだけでパパは満足です。
パパはとっても嬉しいです。
がんばったね。痛い注射も、嫌いなテストも、
いっぱい辛い思いさせてごめんね。
痛みとか、辛さ、代われなくてごめんね。
はるくんが毎日いっぱいがんばってきたから、
今日、卒業できたんだよね・・・本当にがんばったね。
はるくん、君は幸せ者だよ。
こんなに多くの人に助けられ・・・
支えられて今日を迎える事ができたんだから・・・
みんなにはるくんが成長した事を認めてもらえたんだから、
これからも、今まで以上にがんばろうね・・・
はるくんが生まれてきてくれて本当に良かった。
今日、改めてそう思えました。
生まれてきてくれてありがとう。
そして、これからもみんなでがんばろうね。
今日は本当におめでとう。
はるくんにとって、これからの毎日が、
光り輝き、澄んだ毎日でありますように・・・
あなたのパパより。
今日の写真
泣いているあいちゃんの前に飛んでいって、あやしているはるくん。
あいちゃんもはるくんにあやされると結構泣き止みます。
もう、はるくんもりっぱなおにいちゃんです・・・